チャート式基礎からの数学ⅠAの効果的な使い方と勉強法
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【概要と対象者】
数学の有名な参考書の一つとして必ず挙げられるのが「チャート式」であろう。不動の人気を誇り、他を圧倒する厚さで問題数もずば抜けている。
これが普通の参考書でなく「網羅系参考書」と言われる所以であろう。
また、従来から赤・青・黄・白と4色のレベル別チャート式があったが近年、緑と紫が追加され今では全6色のチャート式が出版されている。
まず、この色とレベルについて先に述べておこう。
チャート式シリーズ
赤チャート:正式名称「チャート式 数学シリーズ」
青チャート:正式名称「チャート式 基礎からの数学」
黄チャート:正式名称「チャート式 解法と演習数学」
白チャート:正式名称「チャート式 基礎と演習数学」
緑チャート:正式名称「チャート式 センター試験対策 数学 IA+IIB」
紫チャート:正式名称「チャート式シリーズ 入試必携168(文系・理系)」
それぞれのレベルが
赤チャート…東大・京大・国立医学部レベル
青チャート…関関同立理系・MARCH理系~東大・京大レベル
黄チャート…中堅私立~関関同立文系・MARCH文系・地方国公立文系レベル
白チャート…教科書レベル(入試レベルに満たない)
また緑・紫チャートは上の4色とは違い、「問題集」なので使う時期、使用方法などが全く異なるので、ここでは省略させてもらう。
この2色については下を押して読んでほしい。
緑チャート:正式名称「チャート式 センター試験対策 数学 IA+IIB」
紫チャート:正式名称「チャート式シリーズ 入試必携168(文系・理系)」
詳しく赤~白について述べよう。
まず赤チャートは、特殊な受験生以外は触れなくて良いであろう。
特殊な受験生とは、受験数学においてはもう言うことがないほど得意であり、ただただ難しい問題を解きたいと考えているような受験生である。それほど赤チャートのレベルは規格外である。
青チャートについては後ほど詳しく述べるが、国公立志望なら迷わずもっておくべきであろう。
関関同立・MARCHの文系受験者でも「数学で稼ぎたい」「数学が好きだ・得意だ」というような方は、黄チャートでなく青チャートにレベルを上げても構わない。逆に関関同立・MARCHの理系受験者でも数学が苦手ならば思い切って黄チャートにしても良いだろう。
黄チャートは上で述べたようにチャート式の中では一番幅広いレベルをカバーしている。
もし学校選びが迷っているようであれば黄チャートに取り組むのが無難であろう。
白チャートは教科書をわかりやすく噛み砕いて解説している参考書である。
授業の副読本、授業についていけなくなった人が読むためのものであるため、受験用の参考書としては使えない。しかし、高校1・2年生であれば白チャートでしっかりと基礎を固めておけば3年生になったときにしっかりとした地盤を築けるだろう。
以上がチャート式の色別のレベルと対象者である。
このページでは青チャート(チャート式 基礎からの数学)ⅠAについて、さらに詳しく述べていくが、基本的な使い方についてはどのチャート式も同じであるのでぜひ参考にして頂きたい。
関連:失敗しない参考書選びの基準
【具体的な構成】
チャート式は大きく分けて、
- 基本例題
- 重要例題
- 練習問題
- 演習問題A
- 演習問題B
の5つに分かれている。
まずチャートの大部分は①と②と③で構成されている。1ページに例題(①or②)と答えがまとめられており、それに続いて例題の類題である③が書かれている。そして各単元の最後に入試問題である④⑤が載っている。
これがチャート式の基本的な構成になっている。
例題の問いと答えが1ページにまとめられているので見やすく、復習もしやすいのが良い点であろう。
【使い方】
①解法パターンの理解型暗記をせよ
チャート式はインプット系の参考書である。これを初見で解ける人はそういない。
問題を解いていて、「先生みたいに、答えがひらめかない!」と言う生徒がよくいるが。そのような人にまず言わせてもらうと、数学は決して「ひらめき」ではない!ということ。
数学が出来る人と言うのは過去に経験したことのある解法パターンを組み合わせて解いているだけである。それこそ覚えているものを引っ張ってきているだけなのである。
ひらめきというのは、想像を絶するほどに勉学に時間を割き、そして公式を生み出したり、偉大なことを成し遂げるような天才だけに振ってくるものであり受験においてはそのようなひらめきは全く必要でない。
受験生に必要な数学力は簡単にいうと「解法パターンの暗記⇒解法パターンの組み合わせの練習」で身につく。
このチャート式では、第一段階である「解法パターンの暗記」に励むのだ。
その際、ただただ解法を丸覚えするのでなく、「なぜ」に着目した暗記をしてほしい。なぜその式変形が必要なのか、なぜそこに補助線をひくのか等々、答えの暗記でなく答えに至るまでの過程を理解し暗記せよ。
②例題だけを解け
理由は「周回スピードを速くするため」である。
このチャート式は問題掲載数が1000問以上あり、一周するのに膨大な時間を要する。しかし、例題だけに絞るとその量は200問~300問程度に絞られるので、単純に一周に要する時間が大幅に減ることが分かるだろう。
練習問題や演習問題は所詮は例題の類似問題である。
数学に限らず、どの教科にも言えることだが、まずは「全体像を把握すること」が大事であり、単元ごとに基礎から発展までやるのでなく、まずは基礎レベルで全体を通してみる。そして周回するごとに少しずつ深く深く内容を掘っていくのだ。
だから練習問題や演習問題に取り組むのは最後でいい。まずは例題だけを何周もしていくことを勧める。
③ひたすら周回せよ
上の②でも述べたが、周回することが暗記においては最重要である。特にチャート式のように一周に時間のかかるものは、とにかくスピードを上げて先へ先へと進むこと。
一周目ですべてを理解・暗記する必要は全くない。
3周目4周目になってようやく「あ、そういうことか!」となることも多々ある。さらに周回数を重ねるごとにスピードは上がってくるので、1周目より2周目、2周目より3周目、と1周にかかる時間が短くなっていくだろう。
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【使用時の注意点】
それは1問にこだわりすぎないこと。使い方でも述べたが、チャート式は暗記でありスピードが命である。
1問に20分、30分も考え込むのでなく、問題を見て解法が浮かばない場合はすぐに答えを見る。
これくらいの意識で取り組んで欲しい。
心構えとしては1周目、2周目は「数学に慣れよう・数学の全体を見てみよう」という気持ちで構わない。
はじめは全く解けなくて辛いだろうが、周回数を重ねるごとに数学が出来る実感が湧いてくるはずだ。
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