日本史勉強法【難関私大対策編完全版】
更新日: (公開日: ) JAPANESE-HISTORY
この記事ではそもそも日本史というのはどのような科目なのかという科目の性質や勉強法、また日東駒専・産近甲龍レベルのお薦めの参考書と使用法をお伝えしていきます。
次に上の内容をふまえて、MARCH・関関同立のお薦め参考書と使用法を、最後に早慶上智レベルのお薦め参考書と使用法をお伝えしていきます。
この記事を見れば日本史の勉強法で悩む事がなくなり、自分の志望校にあった最短合格の道が分かるようになります。最後まで集中してみるようにして下さい。
日本史の科目の性質
それでは早速始めて行きますが、まずは日本史という科目の性質です。
日本史と世界史は比べられることが多いですが、まず日本史と世界史で一番違う所は基礎語句の数です。簡単に言うと日本史の方が世界史より基礎語句の数が少ないので、勉強のスタートが切りやすいです。
イメージとしてはそもそも覚えないといけない知識量として、世界史、日本史、地理で比較した場合、
世界史≧日本史>地理
このようなイメージです。
ただ日本史の方が世界史より楽かというと、そうではなくて、日本史は基礎から標準発展に至るまで語句数がずっと多いままです。しかも、日本という1つの国の歴史を学ぶ科目なので、より狭くより深い問題が聞かれます。大学の難易度が上がれば上がる程、重箱の隅をつついたような問題が出されるので、世界史と違って受験後半期のインプットがしんどい科目といえます。
世界史よりも日本史の方が狭く、深く学ぶ。そういったイメージを持ってもらえたらと思います。
日本史は基礎・標準・発展と分けた時に、語句の量がずっと多く、世界史は最初多くてどんどん少なくなっていくイメージです。
日本史の勉強法
それでは続いて日本史の勉強法に入っていきましょう。
「語句」と「流れ」を意識する
日本史の学習で一番重要なのは、語句と流れです。
語句とは「織田信長」・「藤原道長」みたいな人物名であったり、「応仁の乱」みたいな出来事名を覚えるという話で、凄く想像しやすいと思います。
では流れとはなにか。
受験生がよく流れが取れないって事を口にするんですけど、流れというのは、もう少し言い方をちゃんとしたら、出来事の因果関係を掴む事です。
何かが起きて、何かが起きて、結果こういう風になりましたよ、という一連のストーリーのことです。
日本史は取り敢えず覚えたらいいんでしょと思っている受験生が多いですが、特に流れを意識して勉強してもらわないといけません。
具体例を上げておくと、「応仁の乱」を知っていますか?そして「応仁の乱」はどんな争いか分かりますか?
応仁の乱は戦国時代の幕開けの乱と言われていますが、実は室町幕府第8代将軍の足利義政の跡継ぎ争いの事です。それで戦国時代が始まった。もう少し具体的に言っておくと、足利義政の弟、足利義視を次の将軍にしようという派閥と足利義政の子供である足利義尚を次の将軍にしようという派閥に別れて、東軍・西軍みたいな形でバーンってぶつかったのが応仁の乱なんです。
こういった一連のストーリーを、歴史の一連の流れとしてしっかり捉えていく勉強を意識して下さい。
応仁の乱という語句は知っているけど、何のことか分からない、他の語句とどう繋がってくるか分からないと言うのが、一番受験生が陥りやすい部分で要注意です。
問題演習が大事
また日本史は問題演習が凄く大事になってきます。
暗記科目というイメージではあると思いますが、そもそも暗記したと思ったものが、しっかり暗記できているかどうかは頭から出してみないと分かりません。
だから必ず日本史を進めていく上で、語句の流れを覚えたのであれば、レベルに合わせた参考書でしっかり演習する。インプットとアウトプットを細かくしっかりやり続ける事が、日本史は何より大事です。
基本的な勉強法の流れは語句に強い一問一答系の参考書1つと、流れが掴めるような教科書系の参考書、この2冊を軸にしてインプットを進めていき、問題集や他の参考書を使って、暗記力を高めていったり、問題演習量をこなしていくという流れになります。
ここからはお薦めの参考書の紹介に入っていきますが、もちろんこれから紹介する参考書が絶対に正しいというわけではありません。人それぞれ自分の得意不得意があって、こうやった方がやりやすいというのもバラバラなので、参考にして一番自分がいいなと思う方を選んでいってもらったらいいと思います。
産近甲龍・日東駒専レベル
ここからは基礎標準レベルということで、産近甲龍・日東駒専レベルの大学の日本史でどういう参考書のルートをたどればいいかお話していきたいと思います。
メインのインプット参考書
軸になるメインとなる2冊の参考書は、山川出版社の教科書と一問一答です。
教科書と言われ「えぇ~っ」となった人もいるかもしれませんが、そういった人は後で別の方法を紹介します。
日本史の一問一答と言えば、近年大学受験業界では、東進でしょうといった感じでしたが、山川をオススメする理由を説明します。2つあります。
①情報量が適切
②教科書との連動性が高い
1つ目の理由として基本的なルートを辿る時に、必要最低限の情報力をまず最低でも入れていきたいわけです。その時に、東進の一問一答は情報力が多いので、一見強そうに見えますが、初学者からすると凄く重たい。これが1つ目。
2つ目の理由が教科書を軸に流れを掴むとしたときに、教科書の章とか説の構成が一問一答と全く同じになるので、すごく使いやすいです。これが2つ目。
こういった理由から山川出版社の一問一答をオススメします。
では、教科書と一問一答をどのように組み合わせて使っていくかというと、まず一問一答は語句のレベルが3つに分かれています。
星2と星1と星なしの3つです。その3つのレベルをまず1周目・2周目・3周目と覚えていくんですが、教科書と一問一答どちらも横に置いて、まずは星2のレベルが教科書で出てきたら、教科書に緑ペンで線を引っ張ってください。
その繰り返しで一区切り読み終えたら、赤シートで隠しながら、語句を覚え、流れも一緒につかんでいくという組み合わせで使ってください。
教科書だけで勉強出来る人も中にはいると思うんですが、多くの人が「教科書って何を覚えたらいいか分からない」となるので、一問一答に書いてある語句に線を引くことで、しっかり何を覚えたらいいか明らかになります。
しかし、一問一答だけで覚えようするのは絶対に辞めて欲しいです。
それでは、流れがとれません。語句を覚えるだけになるため、全く実践では使えない知識が身についてしまいます。必ず一問一答で出てきている語句を教科書に落とし込んでから、教科書を軸に覚えていって下さい。
この2つの組み合わせの仕方をしないと流れも取れない、語句もしっかり覚えれないという全部中途半端になってしまうので、必ずこの組み合わせで進めるようにしていって下さい。
ペースとしては、基本的に一周目は一問一答の星2のレベルの語句だけでいいので、まずは3ヶ月・4ヶ月ぐらいで一周目を終えて欲しいです。
日本史を3ヶ月・4ヶ月で一周するのは、学校の授業や予備校のライブ授業のペースに合わせていたら、絶対不可能な事ですが、参考書学習でやると可能です。日本史の全体像がどんなものかというのは、早めの段階で分かっておくというのは、受験にとって非常に大事な事なので、出来るだけ3ヶ月・4ヶ月で簡単な所から押さえといて欲しいなと思います。
2周目は、星1レベル語句で学習し、1周目で捉えきれなかった語句や、言葉と言葉の繋がりであったり、歴史の流れという所も意識して学習してください。
これで夏終わりになり、9月頃を迎えると思います。そこからは大学の過去問に触れたりしながら、3週目なり4週目と学習していき、そこまでくるとどんどん問題集もやるので、知らない知識が出てきたら、一問一答なり教科書なりに書き込んでいくと言う風に学習を詰めていって下さい。
一問一答の☆何個まで覚えたらいいのか?
ここで産近甲龍・日東駒専レベルでは、最終的に一問一答の星何個を覚えたらいいかの目安についてお話しします。
実際のところ星1までで合格点が取れるかというと、難しいと思います。到達する人も中にはいると思います。教科書学習で汎用的な知識をつけれている人です。
ただ多くの人はそうではないので、星無しを学習しないといけないとなるわけですが、各大学で頻出の時代などがあるので、優先順位は付けれます。
例えば、明治・大正・昭和という近代の所が良く出る大学であれば、そこだけまず星無しまで練習しながら、他の科目とのバランスも考えて、現代史や古代も学習に入れていくといったアプローチがベストです。
だから星1と2はマストで、そこからは過去問をやってみて、もうちょっと深堀りした方がいいか判断するのをオススメします。
アウトプットの参考書
最初の勉強法の所でも伝えた通り、山川の教科書と一問一答でインプットをしたのであれば、絶対にアウトプット、つまり問題練習をしないといけないです。主観ではなく、どこまで出来ているかしっかり確認するアウトプットは絶対に必要です。
アウトプットの流れは、インプットのレベルに合わせるのがベストです。
インプットの時に、一問一答の星2・星1・星無しでレベルを分けて覚えていく事になるので、当然問題演習も星のレベルに合わせたレベルの問題集を使いたいわけです。
そこで、1週目、つまり星2レベルのアウトプットにオススメの参考書を紹介します。
「はじめる日本史」
この参考書の使い方は一週間のペースで回していくのであれば、山川の一問一答と教科書を4日間ぐらいでインプットしてもらいます。
1週目のうちの残り5日目・6日目でそのアウトプットをし、覚えれていない最後の7日目で吸収しきると言うような流れで勉強していってもらいたいと思います。
この勉強法は星1のレベルになっても変わりません。
星1のレベルでは、別の参考書を紹介します。
東進ブックスの「日本史問題集完全版」
こちらを使って初めの日本史と全く同じように覚えていってもらいます。
4・2・1のペースです。
この一週間の使い方でやっていけば、しっかりインプットしてアウトプットして、覚えれてない所を最後に見直す、という一連の流れが完成するので、この流れで勉強していって欲しいと思います。
アウトプットの最後の部分です。つまり一問一答の星無しレベルの語句を終えていってる時は、大学の過去問で志望校の過去問で練習するようにして下さい。ここで一つ注意点があって、自分の志望校以外の過去問にも取り組んで欲しいと思います。
さっきも言った通り、一問一答で星無しの語句まで覚えたら、日東駒専・産近甲龍はほぼほぼ出来ると思いますが、ただ絶対に取りこぼしは出てきます。つまりその中に入っていない語句も出題されている事もあるので、同じ大学で知らない語句が出てきたら、インプットの参考書に書き加えていくのはもちろんの事、例えば産近甲龍志望の人が近大の過去問を解いて、知らない語句等が出てきたら、それも一緒に取り込んでいってください。大学の過去問演習に入ったら難易度が上がっても対応出来るぐらいの知識量を目指して情報を集めていって欲しいと思います。
ちなみに関関同立やMARCH・早慶上智志望の人たちは日東駒専・産近甲龍レベルの過去問をやるべきかといえば、自分の受ける大学の滑り止めとして使う大学だけで十分です。
とはいえ後半期になると、星無しのレベルを簡単に出来るようになっているので、基本的にはほとんどやらなくても大丈夫かなと思います。
教科書学習が不安な人のための勉強法
最初に言及しました教科書学習が不安な人への解決策をここで紹介しておきます。
教科書が使いにくいという人のほとんどのケースが、知識量・情報量が最初から多くて覚えきれないというものです。一問一答と並行して使うやり方で大分緩和される事と思いますが、心理的なハードルは残ります。
そういった場合にオススメの参考書を紹介します。
「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」
この参考書は語り口調で挿絵も入っているし、イラストも入っていて、何より最低限の情報だけ、「なぜと流れ」を取るだけの本なので、非常に頭に入ってきやすいです。
なので教科書アレルギー、教科書を見てもう全然無理と思った人は、「金谷の日本史なぜと流れるわかる本」を一週目として使ってみるのをオススメします。
しかし注意点として、この参考書は非常に分かりやすいですが、裏を返せば情報量が少ないのです。これだけを完璧にしても受験を乗り切れません。金谷の日本史なぜと流れがわかる本と一問一答の組み合わせで一週目としてやったとしても、二週目からは教科書に戻ってくるようにして欲しいと思います。
教科書から逃げれる一手ではないですが、教科書アレルギーを緩和させてくれる参考書であるという事ですね。
他には、講義を聞きながら学習したいなと言う人は、
「石川晶康のトークで攻略日本史B」をオススメします。
これも凄く分かりやすいんです。トークで攻略と言うほどなので、石川先生の普通の声の講義を聴きながらテキストを見て、語句や流れを覚えていける優れモノです。しかしこれも受験を戦い抜く情報量が入っているかというと厳しいです。
だからあくまで金谷のなぜと流れやトークで攻略日本史Bは、日本史学習の導入であってメインの参考書としてはオススメしません。ある程度の区切りまで使ったら、絶対に最後はしっかり教科書に戻ってきてください。紹介した2つのいずれかを挟んでから教科書を見たら、最低限の語句や流れが入っている状態で読む事になるので、頭に効率的に入ってくると思います。
もう1冊紹介します。全然中学の時も歴史やってなくて全然分からない人向けの超初心者用の参考書です。
普通の人が一般的に知ってるような事も知らないような状態だという人対象です。
「教科書よりやさしい日本史」
情報量も非常に薄いですが、教科書を読む前に豊臣秀吉ってこんな人なんやとか、織田信長はこんな人なんやみたいな、最低限の知識を入れる為には凄く有用な参考書です。日本史全然分からない、中学の時真面目にやってなかった人は教科書よりやさしい日本史を一冊挟むのもいいかと思います。
偏差値で言うと50超えてるような高校を行っているような人には、おそらく必要ない参考書かと思います。何回も言いますが、あくまで最後に紹介した3冊はサブになるので、絶対にこれらを最初に使ったとしても最後は教科書に戻ってきて、過去問をやりながら演習を進めるようにして下さい。
では、基礎標準・産近甲龍・日東駒専レベルはここまでにしていきたいと思います。
関関同立・MARCHレベル
ここからはMARCH・関関同立レベルで文系日本史選択の人がどういう風な参考書のルート勉強法で進めていったらいいのか話していきたいと思います。
では産近甲龍・日東駒専レベルと比べてどう違うのか比べながらお伝えしていきます。
基本的にレベルが変わっても、覚えていく軸となるインプットの教材は変わらず、変えるのはそれをどこまで細かく、深く覚えるのか。
また、演習量を重ねて新しい知識をどれだけ積み上げるかというのが、レベルによって変えていく部分です。
なので、インプットで使う2冊の参考書は変わりません。
山川の教科書と山川の一問一答です。
その星2のレベル語句と星1のレベル語句を覚えていくのに、並行して使う問題集は、
「はじめる日本史」と「日本史問題集完全版」
これも変わりません。
ここから産近甲龍と日東駒専のレベルであれば、過去問をやっていこうと話でした。しかしMARCH・関関同立レベルになってくると、結構細かい知識まで聞かれ始めるのます。
大学によっては、正誤問題とか説明問題など、単純に語群から語句を選ぶだけではなかったりするので、志望大学の過去問を確認し、傾向に合わせた問題集を使っていって欲しいです。
例えば、MARCH・関関同立の過去問を見た時に、正誤問題が出ているようであれば、
「日本史正誤問題集」
という参考書を使っていきましょう。過去問を見て確認して下さいね。
例えば、自分で過去問を見た時に「こんな語句一問一答で全然出てきてない」とか、「教科書で見た事がない語句が多い」となる場合は、
「日本史標準問題精講」や「実力をつける日本史100題」
をやってみることをオススメします。ちょっとレベルの高いアウトプット教材になりますが、この2冊の本を使うようにして欲しいです。
ここ1つだけ注意点があります。
「日本史標準問題精講」と「実力をつける日本史100題」は難しいレベルに対応する為にやっているので、ただ単に問題を解くだけで終わらないようにして欲しいです。産近甲龍・日東駒専レベルでも触れましたが、過去問なり問題集をやった時に自分の知らない知識が出てきたら、教科書にどんどん情報量を足していってください。
実力をつける日本史100題、日本史標準問題精講いずれにしろ知らない知識が絶対に出てきます。そこの部分をしっかり教科書に取り入れて、教科書を回す時にそこも一緒に覚えていく風にしてください。
難関大学・特に関関同立やMARCHの中だったら、立命だったり立教だったりは日本史が難しい大学なので、対策として難しい問題集まで触っていくのが必要になってきます。
早慶上智レベル
続いて早慶上智編です。
軸となるインプット参考書は変わらないです。教科書をメインに山川の一問一答と並行してやっていきましょう。
星2・星1を並行して進めていく問題集の「はじめる日本史」と「日本史問題集完全版」は変わらないです。
関関同立とMARCHの難関大学だけ使うことをオススメした、「実力をつける日本史100題」と「標準問題精講」、これに関しても早慶上智志望者の人は使用することをオススメします。
この参考書・問題集で出て来た知らない語句、知識をどんどん教科書に詰め込んでいって下さい。
ここまでで、上智は終わりです。なので、関関同立・MARCHレベルで紹介した参考書で十分かと思います。
早慶と上智はやっぱりレベルに差があります。早慶の方が難しいです。
早慶が難しい理由が2つあり、1つ目が単純に知識が細かいです。聞かれ方も難しく、語句のレベルも凄く高いです。もう1つが史料問題が出題されることです。そこで細かい所まで聞かれる部分があるので、やっぱりプラスアルファ―で一問一答だとか問題集を使っていかないと厳しくなります。
そこで史料の対策として「日本史史料問題一問一答」を使いましょう。
知識であったり語句はどう詰めていくのかというと、早稲田と慶應の同様の日本史の問題集があります。
「日本史問題集 解答・解説・史料 (慶應義塾大学入試対策用)」
「早稲田大学入試対策用日本史問題集」
これが早慶を対策していく問題集になります。凄く対策には向いている参考書になるので、ここを最後の一押しで使って、受験を迎えるようにして欲しいですね。
早慶レベルでも過去問に触れるのは、11月から12月頃で十分なんです。それよりも日本史の史料問題集の一問一答であったりとか、早稲田・慶應入試対策問題集を使ってインプットを完成させることを優先させましょう。入試の手前ぐらいに、それこそ11月の手前に使えるのが理想かなと思います。
そこまでいったら最後は過去問でどんどん演習を重ねて、知らない知識が出てきたら教科書に知識を入れていく。合格点が出るまでこれを辛抱強く繰り返していきましょう!
それでは難関私大の日本史の勉強法はこれにて終了となります。勉強法を知って皆合格に少し近づいたかもしれません。ただ合格するためには実践が一番大事です。ここで学んだ事を日々の勉強に取り入れて、皆が第一志望に合格することを祈っています!