物理を勉強してもできないのはなぜ?点数が上がらない本当の原因と切り替え方
更新日: (公開日: ) COLUMN
物理を勉強してもできない。問題集を何周しても模試で点が取れない。授業は聞いているし、公式も覚えているのに、なぜか解けない——。
そういう相談を受けるたびに、私たちが最初に確認するのは「勉強量」ではなく「勉強の中身」です。
物理が伸びない本質は、公式を覚える量の問題ではなく、現象を理解しているかにあります。この記事では、点数が上がらない本当の原因と、学習の切り替え方を具体的にお伝えします。
物理が伸びない受験生のよくあるパターン
物理が伸びない受験生は、実は同じ構造でつまずいています。以下の3つのパターンが典型的です。
問題集を3周したのに模試で点が全然取れない
問題集を3周しても物理の点数が上がらないのは、「解法を覚えた」だけで「現象を理解していない」状態が続いているサインです。
問題集を繰り返すことで手順を覚えることはできます。ところが模試では問題の設定や数値が変わります。現象の本質を理解していなければ、少し条件が変わっただけで手が止まってしまうのです。
「良問の風を解けるようになっても模試で点が取れない」という声はよく聞きます。これは再現力の問題です。解法を追っているのではなく、物理の現象を言葉と図で理解できているかが問われています。
授業もしっかり聞いているし公式も覚えているのに解けない
物理の公式を「知っている」状態と「使い方がわかる」状態は、まったく別物です。
私たちが連携する先生は、この点についてこう話してくれました。「公式1つとっても、その使い方が分かっている人と、ただ公式を頭の中に入れている人に分かれる。使い方が分かれば一気にいける科目でもある」と。
公式を暗記しているだけでは、問題の場面でどの公式をどの条件で使うかが判断できません。公式を成り立たせている物理現象を理解してはじめて、使い方がわかるようになります。
何が足りないのかが自分では判断できない
「何が足りないかわからない」という状態は、物理の土台が欠けていることに気づけていないのが原因です。
勉強はしている、時間もそれなりにかけている、なのに点数が上がらない。この状況では「もっと頑張るしかない」という方向に力をかけやすいです。しかし先生は「伸びないなら伸びない原因をもっと手前で探すことが重要」と繰り返し語ってくれました。
何が足りないかを自分で判断するのは難しい。だからこそ、客観的に土台の状態を確認する視点が必要です。
物理が伸びない本当の原因2つ

物理の点数が上がらない受験生に共通する根本原因は2つです。以下の2点を解説します。
公式を「知っている」と「使える」は別物だから
公式を「知っている」だけの状態は、物理の問題では「使える」状態にはありません。物理ができるとは、現象を読み取って公式を当てはめる判断ができる状態を指します。
例えば、「運動の法則が3つある」といわれて3つ全部出てこない受験生は、実は多くいます。教科書に書いてある用語が頭に入っていないと、問題で問われたときに対応できません。
先生は、物理の学習における二極化をこう説明してくれました。「公式の使い方が分かれば一気にいける。ただ頭に入れているだけだとくすぶり続ける」。
この違いを生むのが、現象理解の深さです。
公式を覚えるより先に、「なぜその公式が成り立つのか」「どのような状況で使うのか」を言葉で説明できるレベルまで理解することが、「使える」状態への近道です。
物理は伸びる層・くすぶり続ける層に二極化するから
物理は「伸びる層」と「くすぶり続ける層」に二極化する科目です。 偏差値50後半をずっとうろうろする受験生は意外と少なく、上がるか上がらないかのどちらかになりやすい。
先生は「物理って二極化する科目だと思う。取れる子は取れる、取れない子は取れない。50後半をずっとうろうろしてる子は意外と少ない」と話してくれました。
この二極化を引き起こしているのが、現象理解の有無です。現象を理解できた段階で、公式同士のつながりが見えてくる。
そこから先は一気に伸びるフェーズに入ります。逆に現象理解を飛ばして公式だけ追い続けると、何度問題集を周回しても伸び悩む状態が続きます。
なお、2026年度共通テストの物理平均点は45.55点と過去最低を記録しました※1。じっくり考えさせる設問が多く、公式を当てはめるだけでは対応できない問題設計になっています。現象を理解したうえで考える力が求められているのは、共通テストも同様です。
物理の点数が伸びない3つのパターン
点数が伸びない受験生には、共通した行動パターンがあります。以下の3つから、自分がどれに当てはまるかを確認してください。
解説を読んで「わかった」で止まっている
「わかった」で満足して問題を閉じるのは、理解と再現力を混同しているサインです。
解説を読めば「なるほど」と思えます。しかしその直後に解説を見ずに同じ問題を解けるかは別の話です。
基準にすべきは「人に説明できるか」です。先生も「基礎問題精講の基本問題を、人に説明できるレベルで解けること」を関関同立合格の土台として挙げてくれました。わかった気になっている状態と、説明できる状態の間にはギャップがあります。
前の単元の土台が抜けたまま次に進んでいる
力学が不完全なまま電磁気や波動に進んでも、物理の土台がなければ積み上がりません。前の単元の理解が曖昧なまま前進する学習では、演習量を増やしても効果は出にくいです。先生はこう話してくれました。
「物理は土台がきちんとしてればきちんと伸びてくれる科目。焦って難しいことをやろうとするとあまりうまくいかない。伸びないなら伸びない原因をもっと手前で探すことが重要」。
参考書ルートを計画通り進めているけれど点数が上がらない——その場合は、「進んでいること」ではなく「理解できているか」に立ち戻る必要があります。土台の問題を放置したまま演習を積み重ねても、穴は埋まりません。
図を描かず数式だけで解こうとしている
物理の問題を図なしで数式だけで解こうとするのは、情報整理の手順を省いている状態です。立式のミスや方向の取り違いが起きやすくなります。
先生が「物理は図を書いて理解することが多い科目」と語ってくれているように、情報を可視化するステップは省略できません。速度・力の向き・物体の関係を図に落とし込んでから立式する。この順番を守ることで、複雑な問題でも整理して解けるようになります。
図を描く習慣がない受験生は、まず「問題文を読んだら必ず図を描く」というルールを設けることからはじめてみてください。
現象理解を優先する学習に切り替える3つのポイント

勉強法を切り替えるといっても、何から変えればいいかわからない方も多いと思います。以下の3点を押さえるだけで、勉強の質は変わります。
公式の前に「現象を言葉にする」ステップを入れる
公式に手を伸ばす前に、「この問題は何が起きている場面か」を言葉にするステップを必ず入れてください。「何が起きているか」を言語化するステップが、物理における現象理解の入口です。
「物体に力が加わって速度が変化している」「電荷が電場のなかで動いている」——こうした現象を自らの言葉で説明できてから公式を選ぶ。この順番を変えるだけで、公式の使い方への理解が変わります。
用語から入るのではなく、「何が起きているか」を先に捉える。先生が「公式の使い方が分かれば一気にいける」と語ってくれたのは、この現象理解が土台にあるからです。
図を描いて情報を整理してから立式する
問題文を読んだ直後に立式するのではなく、まず図を描いて情報を整理する。この順番を守ることが、物理の点数を安定させる最短ルートです。
物理は「グラフ・図を多用する科目」です。先生が自著の解説図をすべて手書きにこだわったのも、視覚的な理解の重要性を知っているからです。
力の向き、物体の位置関係、速度の変化——これらを文字だけで追おうとすると、どこかで判断ミスが起きます。図に書き出してから立式することで、条件の見落としを防げます。
人に説明できるレベルを到達基準にする
「問題が解けた」ではなく「人に説明できる」を到達基準にすることで、物理の再現力が身につきます。これが模試でも点が取れる状態です。
解説を読んで理解したあと、ノートを閉じて「なぜこの公式を使ったか、なぜこの手順になるか」を口に出して説明してください。詰まる箇所があれば、そこがまだ理解できていない部分です。
「人に説明できるレベル」を基準にする理由は、それが実際の入試問題への再現力に直結するからです。先生が関関同立合格の到達基準として挙げたのも、この「人に説明できる状態」です。
物理の点数が伸びないときに手前に戻るべきポイントは?
「手前に戻ったほうがいい」とわかっていても、どこまで戻るかの判断が難しいと感じる方は多いと思います。
土台の抜けを確認するもっとも手軽な方法は、教科書を開いて用語が出てくるかを確認することです。用語が出てこない場所が、物理の学習で手前に戻るべきポイントです。
先生は「力学だったら、運動の法則が3つあるといわれて3つ出てこない子は結構いる。教科書に出てくる用語が入っていないと、問題で聞かれる機会もないから自分で気づきにくい」と話してくれました。
確認の手順は次のとおりです。
- 教科書の単元見出しを見て、その単元の基本用語を3つ以上いえるか確認する
- いえない、または意味を説明できない用語がある → その単元が土台の欠落箇所
- 用語が出てきても、その用語が指す「現象」を言葉で説明できるか確認する
自分だけでの確認には限界があります。先生も「適切な指導者が前にいるのが一番望ましい」と話してくれました。自己確認をしたうえで、判断しきれない部分は専門家に任せることが重要です。
関関同立物理の合格ラインを示す2つの目安
関関同立の物理で何が求められているかを具体的に把握することで、どこを目指して勉強すればいいかが明確になります。以下の2つの目安を確認してください。
基礎問題を自力で最後まで解いて人に説明できる状態か
関関同立の物理対策として、まず「基礎問題精講の必修問題を、人に説明できるレベルで自力解答できる状態」を目指してください。自力で解いて人に説明できる状態が、物理の土台完成のサインです。
先生は、関関同立・マーチレベルの受験生の夏前到達基準として、「基礎問題精講の簡単な方の問題が、自力で最後まで解答を導ける、解法もわかっている、人に説明できるレベル」を挙げてくれました。
「解説を見てなるほど、ではなく自力で」というのが重要です。ここができている状態であれば、土台ができあがってこれから伸びるという感覚が生まれると先生は語ってくれました。
| チェック項目 | 目安 |
|---|---|
| 基礎問題精講(必修)を自力完答できる | 解説なしで最後まで解ける |
| 解法の理由を説明できる | 「なぜこの公式か」を口に出せる |
| 単元の抜けがない | 力学・電磁気・熱力学・波動・原子を一通りカバー |
共通テスト・センター形式で満遍なく解けるか
物理で単元ごとの得意・不得意が残っている状態は、本番で失点につながります。共通テスト・センター形式の過去問を使って、全分野を満遍なく解ける状態かを確認してください。
先生は「力学ばかりやったから力学はできる、でも電磁気はできないという単元ごとの波がある状態は要注意。共通テストやセンター式の問題を使って満遍なく解いてみることが重要」と語ってくれました。
2026年度の共通テスト物理は平均点45.55点と過去最低を記録しました※1。全分野にわたってじっくり考えさせる設問が多く、特定分野だけを得意にしていては対応しきれない構成です。関関同立の入試でも、単元をまたいだ理解が前提になっています。
学習の切り替えを一人で続けるのが難しい2つの理由
勉強法の切り替えを頭ではわかっていても、一人で続けることが難しい理由があります。以下の2点がその主な原因です。
何を戻るかの判断を自分でするのは難しい
物理の「手前に戻る」判断は、自分一人では正確にできません。自己評価は甘くなりがちで、本当に抜けている部分を見落とすことが多いからです。
先生が「自分で土台の欠落を調べるのは確かに難しい」と話してくれているように、自らの弱点は自分では気づきにくい。これが一人で学習切り替えを進める際の壁です。
「なんとなく理解できている気がする」という状態と「人に説明できる状態」の間にはギャップがあります。客観的な視点がなければ、そのギャップに気づけないまま時間が過ぎてしまいます。
週1回の計画修正がなければ「なんとなく勉強」に戻る
物理の勉強法を切り替えても、週単位で計画を修正する仕組みがなければ元に戻ります。 計画は一度立てただけでは機能しません。
マナビズムでは、専属コンサルタントが週1回、全科目の勉強計画を設計・修正しています。「今週何をどこまでやるか」を毎週具体的に決めることで、「合格するペース」で学習が進みます。
合格に必要な自習時間の多くは、コンサルタントが設計した計画のなかで積み上げられていきます。「頑張る」という抽象的な方針ではなく、「何を・いつまでに・どのレベルまで」が明確になっている状態で勉強するのと、していないのとでは、同じ時間でも差が出ます。
無料受験相談でやることを具体的に決めよう。
物理が伸びない原因は、勉強量ではなく勉強の質——具体的には現象理解の深さ——にあります。「伸びないなら手前で原因を探す」という視点に切り替えることが、点数を上げる第一歩です。
ただ、どこまで戻るべきか、どの順番で何をやればいいかは、自分だけで判断するのが難しいのが実情です。
マナビズムの無料受験相談では、今の状態をヒアリングしたうえで、物理の学習をどこから切り替えればいいかを具体的にお伝えしています。「何が足りないかわからない」という状態でも構いません。現状を整理して、やることを明確にするところからはじめましょう。
よくある質問(FAQ)
物理がどうしてもできないのですがどうしたらいいですか?
まず「公式暗記」から「現象理解」に学習の軸を切り替えることが重要です。問題が解けない・解説を読んでもわかった気がしないという状態は、土台となる現象理解が不足しているサインです。
教科書の用語をいえるか確認し、いえない単元から丁寧に現象を理解し直してください。一人での判断が難しければ、専門家への相談を活用することをおすすめします。
勉強しているのに物理だけ点数が上がらないのはなぜですか?
物理は「勉強量」より「理解の深さ」で結果が分かれる科目です。問題集を繰り返しても点が上がらない場合は、解法を追っているだけで現象を理解していない状態が続いている可能性があります。「解説を読んでわかった」で止めず、「人に説明できる」レベルを到達基準にして確認し直してください。
関関同立の物理は難しいですか?
関関同立の物理は、公式を当てはめるだけでは対応しきれない問題が多く含まれます。力学・電磁気・熱力学・波動の各分野を満遍なく理解したうえで、設定が変わっても対応できる再現力が必要です。まず基礎問題精講(必修)を「自力で解いて人に説明できる状態」まで仕上げることが、合格への土台になります。
高校2年生から物理を巻き返すことはできますか?
高校2年生からの取り組みは、関関同立合格に向けて十分に間に合います。先生によると、高校2年生の冬から死に物狂いで取り組めば、関関同立・マーチレベルの物理に対応できるとのことです。
ただし、「なんとなく頑張る」ではなく、週単位で計画を立てて現象理解から積み上げることが条件です。何からはじめるかを明確にして取り組んでください。
参考情報
※1 独立行政法人 大学入試センター「共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)」