大学受験の数学の勉強法は?丸暗記をやめ解き方を自力再現するコツ
更新日: (公開日: ) COLUMN
大学受験の数学の勉強法は、参考書を何冊こなしたかという進捗度ではなく、模範解答を見ずに解き方を最初から最後まで自らの手で再現できるかという習熟度を、基礎固めから過去問まで確認し続けることで固まります。
「チャート式を3周した」「フォーカスゴールドを1冊終わらせた」というこなした量に安心していても、模範解答を見ずに解き方を再現できなければ、いざ模試や過去問になると手が止まります。
参考書を何周したかという記録と、実際に何も見ずに解けるかという実力は別物であり、同じ範囲を繰り返し読むだけの反復よりも、解答を見ずに自力で思い出す練習を挟むほうが学習内容の定着率が高いことは、心理学の想起練習(テスト効果)に関する研究でも示されています※2。
今回は、数学の成績が伸びない受験生に共通する原因、知っておくべき前提、基礎固めから過去問までの4ステップ、参考書の使い方、時期別の勉強法まで、大学受験の数学を効率よく伸ばすための手順を解説します。
この記事でわかること
- 参考書の進捗ではなく解き方を自力で再現できる習熟度で成績が決まる理由
- 答えをすぐ見る癖や復習基準のなさといった成績が伸び悩む原因
- 基礎固めから過去問までを迷わず進める4ステップと参考書の使い方
- 夏・直前期など時期ごとに何を確認すればいいかの判断基準
大学受験の数学の勉強法は解き方を自力再現できるかで決まる
大学受験の数学の勉強法は、模範解答を見ずに解き方を最初から最後まで自らの手で再現できるかで決まります。参考書のページを何周したかという進捗度だけを追いかけると、理解したつもりのまま本番を迎えてしまいます。
数学の習熟度を測る基準になるのが、例題の答えを隠した状態で、条件から解答まで自らの手を動かして導けるかです。解説を読んで「なるほど」と思うことと、その問題を何も見ずに解き切れることは、まったくの別物だからです。

数学の成績が伸びない受験生に共通する3つの原因
数学の成績が伸び悩む受験生には、いくつか共通したつまずき方があります。次の3つに当てはまっていないか、1つずつ確認してください。
答えをすぐ見て自力で再現する練習をしていない
数学が伸び悩む一番の原因は、少し考えて分からないとすぐに模範解答を最後まで見てしまうことです。基礎問題精講のような参考書で例題を解くときも、精講(用語:問題の考え方を説明した解説部分)を読んで理解できたつもりになった時点で終わりにせず、解説を隠してもう一度条件から答えまで自らの手で導けるかを確認する必要があります。
行き詰まったときも、答えをまるごと見るのではなく、まずは「考え方」の部分だけを確認し、そこから先を再び自らの手で考え直すチラ見学習法(用語:解答を一気に見るのではなく、行き詰まった箇所のヒントだけを少しずつ確認しながら自力で考え直す学習法)に切り替えると、同じ問題を解いても定着の度合いが変わります。
レベルの合っていない問題にいきなり挑戦している
自らの学力より難しい問題にいきなり挑戦すると、成績は伸び悩みます。基礎が固まっていない段階で難関大対策の参考書に手を出すと、1問に時間を取られすぎて参考書が一向に終わらず、途中で挫折してしまうからです。
基礎問題精講のように問題量が絞られた参考書からはじめると、1周目を最後まで終わらせやすく、途中で心が折れることなく標準レベルまで演習量を積み上げられます。
間違えた問題を放置し復習の基準を決めていない
間違えた問題を答え合わせして終わりにしてしまうのも、伸び悩む受験生に共通する原因です。復習の基準がないまま感覚で進めると、本当は理解できていない問題を「なんとなく分かった」で済ませてしまいます。
目安になるのが、問題の難易度の星の数×5分という考える時間の基準です。星1つの教科書レベルの問題なら5分、星3つの入試レベルの問題なら15分考えてから答えを確認するというように、難易度に応じて考える時間を変えると、どこまで粘って良いかの基準がはっきりします。
正解した問題でも、途中式や日本語の記述を省略していないかを模範解答と照らし合わせておくと、たまたま答えが合っただけの解き方を見逃さずに済みます。
大学受験の数学で知っておくべき前提3つ
数学の勉強法を組み立てる前に、大学受験の数学ならではの前提を押さえておく必要があります。以下の3つを踏まえたうえで、勉強の進め方を決めていきましょう。
共通テストの数学は1A2Bで7〜8割が目安
共通テストの数学I・Aと数学II・Bは、7割から8割の得点を1つの目安にしてください。大学入試センターの発表によると、直近の共通テストにおける数学I・Aの平均点は47.20点、数学II・B・Cの平均点は54.52点で、いずれも100点満点の半分前後にとどまっています※1。
平均点がこの水準にとどまっている以上、7割から8割という得点は決して低いハードルではなく、基礎知識の抜けを1つずつ潰していく積み上げでしか届かない水準です。過去問や模試で6割に届かない場合は、時間配分や出題形式への慣れ以前に、基礎知識そのものに抜けがある可能性を疑ってください。
公式は丸暗記でなく導き方まで理解する
数学の公式は、暗記の対象ではなく導き方まで理解しておくべき知識です。加法定理から2倍角の公式を導けるように、公式同士は理屈でつながっており、丸暗記に頼っていると初見の問題で使い方を誤ります。
直前期に公式を自らの手で導出できるかを確認しておけば、本番で公式を思い出せなくても、その場で導き直して対応できます。
文系は二次試験の有無で勉強量を絞る
文系志望は、数学が二次試験に必要かで数学にかける勉強量を判断してください。二次試験で数学が不要なら、共通テスト対策以上の演習はオーバーワークになり、英語や国語など配点の大きい科目に割ける時間を削ってしまいます。
合格から逆算して、数学にどこまで時間をかけるべきかを先に決めておけば、他科目とのバランスを崩さずに済みます。
大学受験の数学を伸ばす基礎固めから過去問までの4ステップ
大学受験の数学は、基礎固めから過去問演習まで4つのステップを順番に踏むことで力がつきます。それぞれのステップで何を確認すればいいか見ていきましょう。
教科書レベルの問題集で基礎を固める
最初のステップは、教科書や教科書傍用問題集で基礎的な公式と解き方を固めることです。大学受験の数学問題は、どれだけ難易度が高く見えても学校で学ぶ数学の範囲を土台にして作られています。
教科書レベルの問題を自力で解けない状態で受験用参考書に進んでも、何が分からないのかすら把握できません。
受験用参考書で解き方の型を自力再現する
2つ目のステップは、受験用参考書で解き方の型を自らの手で再現できるようにすることです。例題を見て解き方が思いつけばそのまま最後まで手を動かし、思いつかなければ精講部分を読んで理解したうえで、解説を隠してもう一度最初から最後まで自力で答えを導けるかを確認します。
ここで正解できた問題も、途中の式変形や日本語の記述が模範解答と同じ精度で書けているかまで見直すと、たまたま答えが合っただけの解き方を見逃さずに済みます。
過去問で抜けを見つけ基礎に戻って埋める
3つ目のステップは、志望校の過去問を解いて自らの抜けている単元を見つけることです。過去問で解けなかった問題は、そのまま放置せず基礎や標準レベルの知識に立ち返り、抜けている部分を埋めてから再挑戦します。
過去問演習は力試しではなく、自らの弱点を洗い出すための道具として使うことが大切です。
文系は共通テストの得点だけに的を絞る
二次試験に数学が不要な文系は、演習の対象を共通テストの過去問に絞ってください。二次試験を意識した難易度の高い参考書にまで手を広げると、共通テストでは出題されない範囲の演習に時間を取られてしまいます。
浮いた時間を英語など配点の大きい科目に回すほうが、合格に対しては合理的な選択です。
大学受験の数学の参考書を使い倒す3つのコツ
| 参考書 | 特徴 | 使い方のコツ |
|---|---|---|
| 基礎問題精講 | チャート式などに比べて問題量が絞られ、1周目で挫折しにくい | 参考欄まで読み込んだうえで、解説を隠して自力で再現する |
| フォーカスゴールド | 「考え方」「解答」「参考」の3点セットで1つの解説が完成する分厚い構成 | 最初から通しで解かず、分からない問題が出たときの辞書として使う |
| チャート式 | 数I・Aから数IIIまで高校数学の全範囲を網羅 | 色分けされた難易度から、自らの今の学力に合った色を選ぶ |
参考書は選ぶこと以上に、どう使い倒すかで効果が変わります。ここでは代表的な3冊を例に、それぞれの使い方のコツを紹介します。
基礎問題精講は参考欄まで読み手を動かす
基礎問題精講は、参考欄まで読み込んだうえで自らの手を動かすことで効果を発揮します。チャート式などに比べて問題量が絞られているため、1周目で挫折しにくいのが特徴です。
例題を解くときは、まず精講部分でその問題に必要な考え方を理解し、そのうえで解説を隠して条件から答えまで自力で再現できるかを確認してください。参考欄には応用が利く知識が補足されているため、例題の解説だけでなく参考欄まで目を通しておくと、週末の総復習で自分がつまずいたポイントを効率よく見直せます。
フォーカスゴールドは3点セットを辞書代わりに使う
フォーカスゴールドのような分厚い参考書は、最初から通しで解くのではなく辞書代わりに使うのが効果的です。フォーカスゴールドは「考え方」「解答」「参考(用語:問題を解くうえで間違えやすい点や補足知識をまとめた欄)」の3点セットで1つの解説が完成する構成になっています。
学校で配布された教科書傍用問題集を中心に演習を進め、分からない問題が出てきたときに該当分野を調べる辞書として使うと、莫大な演習量に追われることなく効率よく知識を補えます。
チャート式は難易度別に自らのレベルで選ぶ
チャート式は、色分けされた難易度から自らの今の学力に合った色を選ぶところからはじまります。チャート式は数I・Aから数IIIまで高校数学の全範囲を網羅しているため、自らのレベルに合わない色を選ぶと、教科書レベルの抜けを埋めないまま難問に挑んだり、逆に基礎の反復に時間をかけすぎたりします。
志望校の過去問レベルから逆算して、今の自らに必要な難易度の色を選んでください。
大学受験の数学を時期別に伸ばす勉強法
大学受験の数学は、時期によって確認すべきポイントが変わります。夏から直前期まで、段階ごとに何を意識すればいいか見ていきましょう。
夏は共通テストの過去問で基礎の抜けを洗い出す
夏は、共通テストの過去問を解いて基礎知識の抜けを洗い出す時期です。共通テストの過去問を解いて6割に届かない場合、時間配分や出題形式への慣れが足りないのではなく、基礎知識そのものに抜けがある可能性のほうが大きいと考えてください。
1つ1つの抜けを丁寧に潰していく作業が、7割・8割への土台になります。
抜けが埋まったら出題意図を読み解く力を鍛える
基礎の抜けが埋まったら、次は出題者の意図を読み解く力を鍛える段階に進みます。共通テストの数学は問題文の誘導に沿って解き進める形式で出題されるため、なぜこの式変形が必要なのか、なぜこの点の座標を求める必要があるのかを自らの言葉で説明できるようになると、解答に必然性が生まれます。
例えば「2次関数のグラフと直線が接する条件を求める問題で、なぜ判別式D=0を使うのか」を考えてみましょう。直線と2次関数のグラフの交点は、2つの式を連立して解いた2次方程式の解として現れます。
接するとは、その解がただ1つに定まる状態を指すため、2次方程式の解の個数を表す判別式がD=0になるという流れを、自らの言葉で説明できる状態を目指してください。
この力が、6割・7割の壁を8割へと押し上げる次のステップになります。
直前期は公式を自分で導出できるか確認する
直前期は、使っている公式を自らの手で導出できるかを確認しておくべき時期です。加法定理から2倍角の公式を導けるというように、公式同士のつながりをゼロから示せる状態にしておくと、本番で公式をど忘れしても自分で導き直して対応できます。
新しい参考書に手を広げるより、今使っている知識をどこまで人に説明できるかを確認するほうが、直前期には効果的です。
大学受験の数学の悩みは無料受験相談で確認しませんか
大学受験の数学の勉強法に不安が残るなら、無料の受験相談で今の習熟度を一緒に確認しませんか。参考書の進め方や過去問への取り組み方は、今の学力や志望校によって変わります。
マナビズムの受験相談では、今の学力を数値で確認したうえで、基礎固めから過去問までどう逆算して進めるべきかを一緒に整理します。公式LINEでは、参考書の使い方や年間の学習計画をまとめた参考書ガイドブックも配布しているので、まずは自らの数学の課題がどこにあるのかを確認しに来てください。
大学受験の数学の勉強法でよくある質問
数学が苦手でも大学受験で克服できますか
数学が苦手でも、正しい手順で習熟度を確認し続ければ克服は可能です。ただし、頑張って何周もしたという進捗度だけを積み重ねても苦手は克服できません。
教科書レベルの基礎から一段ずつ、模範解答を見ずに再現できるかを確認しながら積み上げる経験が前提になります。
数学の勉強はいつから本格的にはじめるべきですか
理系志望と、数学に苦手意識のある文系志望は、高校2年生の秋までに本格的な対策をはじめておくべきです。二次試験で数学を使う理系志望ほど演習量が必要になり、数学に苦手意識のある文系志望も基礎固めに時間がかかるため、ほかの受験生より早めに着手しておくと安心です。
着手が遅くなるほど、基礎固めから過去問演習までの4ステップを回す時間が足りなくなります。
参考書は何冊も並行して使うべきですか
参考書は冊数を増やすことより、1冊を模範解答なしで再現できる状態まで仕上げることを優先してください。複数の参考書に手を広げると、どの参考書も中途半端な進捗度で止まってしまい、習熟度を確認する余裕がなくなります。
基礎問題精講のように問題量が絞られた1冊を最後までやり込み、そのうえで抜けている単元だけを別の参考書や過去問で補うほうが、結果的に効率よく力がつきます。