新しい高校物理の教科書の効果的な使い方
更新日: (公開日: ) PHYSICS
新しい高校物理の教科書の効果的な使い方
物理を身近に感じさせてくれる1冊
概要と使用法
物理。
それは多くの人が苦手意識をもつ科目だ。
よくわからない公式、難解な数式、抽象的な概念、目には見えない現象…などなどが物理を難しく感じさせているのだろう。
そんな物理を苦手とする人向けに書かれた本は現状たくさんある。
しかし、そのような本は数式を使わないことを売りにしているために、物理の本質を学ぶことは難しい。
そこで数式を交えて、なおかつ簡単に物理の本質を学びたい人におススメなのが本書である。
本書をおススメするポイントとしては、以下の3点が挙げられる。
・微積分など、難しい数式を使わないところ
・身の回りの物理現象を交えて「数式の意味」や「現象が起こる理由」などを解説しているところ。
・物理学が発展してきた歴史に沿って、記述されているところ
上記の3つのポイントにより、本書は物理を苦手とする人にも読めるように仕上がっていると思う。
本書の流れは「力学」から入り、「波動」「電磁気」と続き、最終的には「相対論」「量子論」を紹介して終わるというスタイルだ。
したがって、本書を読み終わる頃には、大まかに「物理学ってこういうものなのか」ということぐらいは分かるようになるだろう。
高校物理を総ざらいしたい人におススメの1冊だ。
本書の特徴は?
各章冒頭に、答えられそうでなかなか答えることのできない簡単な設問を置く構成は、読者に自然と目的意識を持って文章を読み進めさせる効果がある。
素晴らしい設問のチョイスで、これに関してはあっぱれと言わざるを得ない。
さらに導入部や解説の合間に、壮大な物理ドラマを感じさせる味のある語りが散りばめられているため、かなりのページ数だが意外とサクサク読み進めることができる。
高校物理の定番題材にストーリー性を付与し、直感的なわかりやすさを重視した解説に優れる。
こういった各章の初めにおかれたイントロが非常に優れており、「物理ってなんのことか分からない」「なんのために勉強しているのか分からない」というような人にでも興味を持たせる内容になっている。
(何事も難しいと思うと、理解力は落ちるもので本書は、「物理って難しい」を「自分でもできるかも」に思考変換させてくれる素晴らしいものだ。)
気になる使い方は?
ここまでを読んでもらうとお分かり頂けたかもしれないが、本書は参考書ではない。
厳密にいうと、読みものとして扱われる「新書」である。
本来は、「高校物理をおさらいしたい大人」向けに出されていたのだが、年齢関係なく高校生にも読んで理解することは十分に可能なので、ここでも紹介させていただいた。
話を戻すが、使い方に関しては「特にない」。
本書は読み物なので、通学時間などのヒマなときにでも軽い気持ちで読んでほしい。
決して「勉強するぞ」という姿勢で見るのではなく、本当に気楽に読んでほしい。
こうした使い方だと、高校1~3年生のどの学年の者にでも使えるだろう。
受験生であっても通学時間や寝る前に軽く読んだりするといいだろう。
新たな発見に必ず出会えるはずだ。
1,2年生についても、これから習う物理というものの本質に誰よりもいち早く気づけるので読んでおいて決して損はない。
つまるところ、時間・場所などは気にせず、気が向いたときに読書する姿勢で本書を読んでほしい。