公式集モノグラフの効果的な使い方

 

１.公式集モノグラフの概要

 
この本はタイトル通り、高校数学の公式を1冊にコンパクトにまとめている参考書（公式集）である。
しかし、ただただ公式を並べているだけの公式集とは違い、教科書より非常に詳しい解説や例題などが載っている。
証明もその辺にある参考書より多種多様なものを扱っている。
話し言葉などはなく、淡々とした文で事実だけを書いてあるので数学が好きな人にとっては良い本と言えるだろう。
一部、高校の内容を脱するところはあるが、できないようなレベルではない。
公式を暗記して、それを当てはめるだけの数学には限界がすぐに来る。
その壁を超えたいのならば、数学の基礎力を上げる他にない。
 
「数学の基本ができている」というのは，単純な問題が解けることではなく，定理や公式を「理解している」ということである。
 
そして，そういう基本を身に付けるには，いわゆる「基本問題」をたくさん解くのではなく，公式や定理を自力で証明できるようにするのがベストな方法だと考えている。
本書は，公式や定理をきちんと証明をつけてまとめていて，上記のような「基礎力の養成」に応えてくれる書物だ。
 
ただ、分量が多く、高校内容を逸脱している箇所も見られるので、入試で数学が大きなウェートをしめるという方におすすめしよう。
 

2.公式集モノグラフの使い方

 

①公式、定理を根源から理解せよ

この本の醍醐味は何といっても、すべての定理、公式に詳細な解説・説明が記載されている点だ。
一方向からの解法ではなく、様々な視点からみた解法・証明を我々（読み手）に存分に示してくれている。
この証明を理解し、自分でも公式を証明できるようにするだけで数学力がアップすることは容易に想像できる。
 

②問題を自力で解いてみる

 
この本は、ただ単元の順番通りに公式を並べている教科書とは違い、単元の境など関係なしに、しかし、非常に体系的に公式を解説している。
 
また、この本は「公式集」と銘打っているが、実際には公式集＋重要問題集という役割を果たしている。
公式だけを載せた公式集とは違い、入試でも頻出の問題も扱っている問題集とも言えるのだ。
さすがは、「モノグラフ」であろう。
この頻出問題を実際に自分で解き、解けるようになるまで何度も繰り返してほしい。
 

3.公式集モノグラフの総評

 
大学受験レベルまでの数学の学習では、「公式の証明」の暗記。
と、そこから発展する「基本項目の理解」が重要だ。
「公式を暗記」して、問題集にとりかかるのではなく、「公式の証明を暗記」してからのほうが遥かに応用力がつくものである。
大学受験レベルでは、「教科書」の公式の証明と例題の答えの暗記、プラス問題演習でも事足りるが、大学入学後の理系の勉強を考えると、数学の本質にまで踏み込んで、高校数学の全体を鳥瞰した本書で「公式の証明」を調べる作業を含めると極めて効果的であり、これが可能な参考書は本書しかない。
 
よって文系には少しオーバーワークとみられるが、先のことまで考えている理系の高２・３年生には非常におススメできる1冊である。