数Ⅲ微分積分が面白いほどわかる本　　　の効果的な使い方

１．数Ⅲの微分積分が面白いほどわかる本の概要

 
理系に取っては避けては通れない最大にして難関の壁、それが「数学Ⅲ」であろう。
理系に進んで一番初めに面を喰らうのが、「数Ⅲの極限」である。
非常に大胆かつ繊細な視点・思考を必要とされ、ここで数学Ⅲを諦めてしまう人がなんと多いことか。（数学Ⅲの本当の楽しみは極限後の「微積分」だと言うのに…）
 
そんな多くの受験生に立ちはだかる「極限」から超丁寧に説明している参考書がこの「パワーＵＰ版　坂田アキラの数Ⅲの微分積分〔極限・微分編〕が面白いほどわかる本」である。
もう感想からいうと、「数Ⅲをこれ以上わかりやすく解説している参考書はない」。
 
数学Ⅲは先述したように、非常に大胆に物事（グラフ・式）を見たかと思えば、急に細かい視点に移るということが数Ⅲの世界では日常茶飯事だ。
なぜなら、今までの数学ⅠＡⅡＢとは違い、数学Ⅲでは無限（∞）や微小区間などの「目には見えない部分」まで考える必要があるからなのだ。
これを解説するのは、講師側からも非常に難しく、事実ほとんどの参考書で数学Ⅲの解説は文字・記号だらけになっているものが多い。
 
しかし、この参考書は違う。
今までと同様、坂田アキラ先生独特のコミカル調な参考書でなおかつ、限りなく文章を少なくして最大限に図を使ってイメージで数学Ⅲを解説している。
これまでのお堅い、難しい、わかりにくいという3重苦の数学Ⅲを一挙に解決した最高の良書であると言える。
 

２．数Ⅲの微分積分が面白いほどわかる本の詳細

 
ただ、気になる点を強いて一つだけ挙げると、「丁寧すぎる」点であろう。
決して欠点ではなく、対象を「独学者」や「初学者」にしているゆえに、坂田アキラ先生もあえて超丁寧にしているのである。
なので、ある程度数学Ⅲが理解出来ている人にとっては、読む必要が無い部分が非常に多いことになるだろう。
だからといって、ある程度出来る人には不要という訳ではない。
そういった人の使用法は後述する。
 
また使用時期は受験初期だ。
数学Ⅲに取り組む時期は早ければ早いほうが断然有利なので、「次に何をしようかな」といった様子なら、今すぐにでもこの参考書に取り組むべきだ。
 

３．数Ⅲの微分積分が面白いほどわかる本の使い方

 
苦手な人が使用する場合
 

1. １．講義部分の熟読

知らないことがたくさんあると思うので、まずは坂田先生の丁寧すぎる解説でしっかりと数学Ⅲがどういったものかということを理解してほしい
 

1. ２．例題の周回

問題には難しいものも時には出現するが、現時点ではそれは無視で構わない。
とにかく、本書の例題を反射的に解けるようになるまで繰り返してほしい。
実践問題・演習問題に取り組むのはそれからの話だ。
 
得意な人が取り組む場合
 

1. １．問題部分だけに取り組む

得意な人・ある程度出来る人にとっては、坂田先生の丁寧すぎる講義部分は既知であることが多い。（もちろん得られることもあるが）
だから、自分には盲点がないかのチェックとして、問題部分だけを解いてほしいのだ。
そこで正解すればそこまでだが、間違えたときは、存分に坂田アキラ先生の非常に丁寧な解説を読むべきだ。
そこで、あなたの知らなかった坂田アキラ流の斬新な考え方に必ず感銘を受けるだろう！
 

1. ２．出来ない問題を徹底して潰す

１で取り組んだ問題の解説を読んで、納得して終わり。ではない！
「理解した≠出来る」ということを熟知してほしい。
出来なかった問題はもう一度、ノーヒントで自分で解くことが必須だ。
 

４．数Ⅲの微分積分が面白いほどわかる本の総評

 
触れてなかったが、何が「パワーＵＰ版」なのかというと旧版には載っていなかった「分数関数・無理関数」という単元が収録されるようになった点だ。
もし、旧版を持っているという人でも、「分数関数・無理関数」に苦手意識がとりわけ無いのならば、パワーＵＰ版を買いなおす必要はない。
 
とにかく、この参考書が現存する数学Ⅲの参考書では「最も分かりやすく・楽しい」だろう。
その分、到達点は低くなり、入試に対応できるレベルにまで持っていけるかというと少し不安が残ってしまう。
しかし、目には見えない世界「数学Ⅲ」を容易に感じさせてくれる一冊であることは間違いない。
ぜひ、理系生徒で数学Ⅲに不安がある生徒は手にとるべき名著だ。