【大学入学共通テスト】記述式問題導入延期でどうなる?

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2021年1月、初めての大学入学共通テストが実施されます。
発表当初は、従来のセンター試験から多くの変更が予定されていた大学入学共通テストですが、システムの不備などにより導入見送りとなった要素も。その一つが、国語と数学の記述式問題です。

今回は、大学入学共通テストの記述式問題導入見送りにより、受験生にどんな影響があるのかをお伝えしていきます。

共通テストの記述式問題とは

センター試験から大学入学共通テストに制度が切り替わるにあたり、大きな変更点として挙げられたのが「記述式問題の導入」でした。

しかし、2021年1月に実施される第1回目の大学入学共通テストでは導入が見送られ、いつから記述式問題が取り入れられるかは今のところはっきりしていません。

いま高校1~2年生の方は、自分が受験する年が初めての記述式導入となる可能性もあります。
まずは、記述式問題が導入されることになった背景や、予定されている問題形式についてお伝えしていきます。

記述式問題導入の背景

センター試験から共通テストへの制度変更が検討され始めたのは、2013年。
2017年7月にその概要が明らかになり、「従来のセンター試験のように暗記偏重ではなく、実際の社会で役立つ思考力・判断力・表現力を重視する」という方針が発表されました。

大学入学共通テストに記述式問題が導入される理由は、この思考力や表現力を問うためです。マーク式よりも自由度の高い解答ができることで、問題を解く過程や、考えたことを読む人に伝えるための表現力を得点に反映することができます。

導入予定は国語と数学のみ

大学入学共通テストは全部で6教科29科目実施されますが、記述式問題が導入されるのは国語と数学のみです。2017年、2018年に実施されたプレテストでは、国語の記述式問題は3問でした。

点数はマーク式のみで200点で、記述式問題は点数ではなく、A~Eの5段階評価で評価されます。
この評価をどのように合否判定に活用するかは大学次第で、「Aは40点、Bは30点」等と点数に換算する大学や、「マークシートで同点の生徒がいた場合、評価が高い方を優先する」という大学などがありました。

数学の記述式問題は、100点満点のうち3問で合計15点という配分となっていました。ただし、記述式の導入自体が見送りになったので、この問題数や採点方式も、実際の導入時には変更になる可能性があります。

2021年共通テストの記述式問題導入は取りやめに

先にもお伝えしたように、2021年1月に実施される、令和3年度入学者向けの大学入学共通テストでは、記述式問題は導入されません。なぜ、記述式問題の導入は見送られたのでしょうか。

これまでの経緯

2017年の方針発表以降、モデル問題の公表やプレテストの実施、自力で解答を書くのが難しい方向けの入力ソフトの開発など、記述式問題導入に向けた準備が進められてきました。しかし、2020年1月に、2021年1月実施の大学入学共通テストへの記述式問題の導入見送りが発表されています。

2021年の共通テストでは全問をマーク式解答とし、マーク式解答の中でも、思考力・判断力・表現力をバランス良く評価できる問題の作成が検討されています。

見送られた理由

記述式問題の導入が見送られたのは、端的に言うと採点システムの整備が間に合わないためです。
大学入学共通テスト全受験者の採点をするとなると、答案は50万枚以上におよびます。その全てを正確かつ公平に採点するのは、技術的に非常に難易度が高いです。

また、記述式問題の性格上、自己採点との差異や、採点者による採点の基準のばらつきを完全に無くすのも難しいと言えます。採点の不安定さが、大学の合否によって一生を左右されかねない受験生・高校生の不安を煽り、2019年12月には高校生有志による抗議活動も行われました。

このことも、記述式導入見送りの一因になったと考えられます。

記述式見送りで共通テストはどうなる?

それでは、記述式の導入見送りにより、大学入学共通テストの問題や配点にはどのような変更があるのかを解説していきます。

出題形式と方針

記述式問題の導入見送りにより、2021年1月に実施される大学入学共通テストの解答は、従来のセンター試験と同じく全問マーク式となります。
しかし、出題方針は記述式問題の導入見送り前と変わりなく、「思考力・判断力・表現力」の3つの力を問うような、センター試験とは性質の違う問題が出題されます。

例えば、文章題だけではなく図表と合わせて考える問題や、数学でも読解力が必要となる長文問題が出題されるといったことが挙げられます。

教科ごとの変更点

具体的に、記述式導入見送り前→見送り決定後でどのような変更があったのか、教科ごとにお伝えします。

国語

当初の予定では、国語の大学入学共通テストは以下のような構成・試験時間となる予定でした。

試験時間:100分
問題数:大問5問

しかし、記述式問題の導入見送りによって、以下のように変更されています。

試験時間:80分
問題数:大問4問

無くなった記述式問題の分だけ問題数も減り、そのぶん試験時間も20分短縮になるという形です。この試験時間と問題数は、従来のセンター試験と全く同じとなっています。

数学

数学の共通テストの試験時間・問題数は、記述式導入見送り前も、見送り決定後も変わりません。

試験時間:70分
問題数:大問5問中、2問必答、残り3問中2問選択

これは、当初記述式問題として作成された問題が、そのままマーク式解答として残るためです。問題の総ボリュームは、記述式の有無に関わらず変わりません。センター試験からは、問題数が増えたぶん、試験時間が10分延長になっています。

記述式の今後の見通し

先にもお伝えしましたが、共通テストに記述式問題がいつから導入されるかは、今のところ発表されていません。2025年以降は、理科・社会の問題にも記述式が導入される方針が示されていましたが、こちらも不確定です。

萩生田光一文部科学相は、2019年12月の会見で「期限を区切った延期ではない。まっさらな状態で対応したい」とも説明していて、実質的には見送りではなく白紙撤回。安定した採点システムが確立されるまで、記述式は導入されない可能性が高いでしょう。
参照:日本経済新聞「共通テスト 記述式見送り 導入断念も含め検討 文科相表明」

共通テスト記述式問題の見送りによる影響はある?

記述式問題の導入見送りによる受験生への影響は、あまり大きくないと言えます。
国語では記述式問題が丸ごと無くなるだけですし、数学は記述式となる予定だった問題もそのまま残ります。問題の出題方針自体は、当初の発表やプレテストの出題傾向と変わりありません。

思考力・判断力・表現力を養うような複合的な学習が必要にはなりますが、記述式問題の有無によって勉強方法が左右されることはないでしょう。
プレテストや予想問題を解いて、共通テスト独自の出題形式に慣れつつ、知識のベースとなる高校での学習内容をきちんと頭に入れておくことが大切です。

まとめ

大学入学共通テストへの記述式問題の導入は、「見送り」となっていますが、実質的には白紙撤回です。いま高校1~2年生の方は、記述式問題が取り入れられる可能性はゼロではありませんが、低いと思っておいて良いでしょう。

出題方針も、記述式の有無によって変わることはありませんので、勉強の進め方にも大きな影響はありません。逆に、記述式問題見送りにより不安定な採点を避けるとい考え方もできるので、安心して受験勉強に取り組んでいきましょう。

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