親切な物理の効果的な使い方
更新日: (公開日: ) PHYSICS
親切な物理
昔ながらの名著!「親切な物理」
本書は何と、昭和34年(1959年)に出版され、とてつもなく長い時間受験生・社会人・大学生に親しまれてきた名著中の名著である。
上巻・下巻と分かれており本の厚さも上下巻あわせて国語辞典ほどになっている。
それもそのはずでタイトル通り、親切に親切に物理現象を解説しているからだ。
「親切な物理」の画期的かつ原始的な特徴とは!
①当たり前のこと・当たり前と思われていることに対する圧倒的な解説量
これは言葉の通りで、当然のように扱われてきている物理の公式・現象を著者が独自の視点で噛み砕いて説明してくれている。
この解説だけで、今まで自分がどれだけあやふやに物理をしてきたかが痛感出来るだろう。
②原始的な物理考察
本書の特徴の2つ目が、この原始的な視点だ。
どういうことかというと、著者のスタイルとして、極力数学を排して、物理実験・世の中の現象から得られた事実を元に考察しようという進め方だ。
これは、今の物理参考書には類を見ないスタイルである。
今の流行としては、数式をバシバシと使いこなし、最終的には「物理は公式を覚えれば何とかなる」という大学生・教師まで現れる始末だ。
そういった今の流行とは反して、この本書は「根本的に理解すること」にフォーカスしている。その目的を達成するべく、達成させるべくこの著者は分厚く、かつみっちりと本書を書いたのであろう。
③成果が必ず現れると言い切れる参考書
本書はまじめにひたむきに進めれば間違いなく物理に対する力がつく。
そう言い切れる理由としては上の①②に関する要因が非常に大きい。
しかし、その分、量が多い。国語辞典並の分厚さにマイページびっしりと文字が埋まっている本書に立ち向かうだけの気力が必要とされる。
ゆえに、しっかりと腰を据えて、コツコツと時間をかけて物理に取り組もうと考えている人。
どういうこと?という疑問を解決しないと先に進めないような人が本書の効果を十二分に発揮することが出来るだろう。
「親切な物理」の気になる中身は?
本書はかなり独特なスタイルで、話が進められている。
演習から入り、それについて解説を加えるという点だ。
これだけ聞くと「普通の問題集じゃないか」とお思いになるだろう。
しかし、本書は普通とは違う解説の量が売りだ。
ただただ解説が詳しいだけの参考書なら、巷にごまんと溢れているが、本書は他を圧倒する解説と補足事項、周辺知識の解説の量が半端ではない。
まさに著者が持っているすべてを高校生向けに言い換え、書いてあるといっても過言ではないほどの周辺知識の多さだ。
時には大学入試範囲を超えることもあるが、それは決して無駄ではなく、そういった入試には出ない知識を学ぶことで物理の本質・核が見えてくることは多々ある。
著者はそこをよく理解しているので、あえて大学内容の物理まで踏み込んで書いてあったりするのである。
大雑把に見ると、冒頭でも述べた通り「演習→解説」という流れになるが、なんといっても解説の量が多いので、解説の中に様々な講義が含まれていると考えてもいい。
また、本書に載っている演習問題はすべて入試問題なので、実践力もつくのは間違いない。