【2022年度】大学入試共通テスト 数学の難易度を徹底分析!
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2022年1月に大学入試共通テストが実施されました。
共通テスト導入から2年目となった試験で、今までのセンター試験や昨年度との相違点、難易度がどう変わったか知りたい方も多いでしょう。
そこで今回は、数学の科目に関してのセンター試験と異なる点やどのような対策をしていけばいいのかについてお伝えします。
※共通テスト全体の概要に関しては 【2022年度】大学入試共通テスト 全科目の難易度を徹底分析!をご覧ください。
数学Ⅰ
全体概要
共通テスト | |
試験時間/配点 | 試験時間70分/100点 |
大問数/解答数 | 大問は4つ。 |
出題形式 | ヒントを会話文や考察から読み取る問題が昨年よりも増えた。表からの読み取り問題もあったため、解くのに時間がかかる出題形式であった。 |
出題分野 | 第1問は数と式の問題、第2問は図形と計量、第3問は2次関数、第4問ではデータ分析の問題が出題された。 |
問題量 | 問題のページ数、問題文の行数ともに昨年のセンター試験より増えた。 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
2次関数や集合と命題に関する問題は数学Ⅰでのみ出題されました。問題に関しては、施行調査で見られた日常生活に関わる題材や対話形式の問題が出題されており、数学でありながらも読解力を必要とする大問が見られました。
問題文から必要な情報を読み取る力や思考力が問われる問題が増えたため、全体として昨年のセンター試験より少し難化したと思われます。
大問別分析
第1問
問1は対称式、問2からは命題が出題された。基本的な計算問題であり、問2では会話文のなかからヒントが読み取れるようになっている。
第2問 図形と計量
仰角と三角形がテーマとして取り上げられた。問1ではキャンプ場から見上げた山が題材として扱われており、水平方向と鉛直方向における縮尺の違いを修正し正しい情報を求める。問2も基本的な計算問題が多いが、ポイントに気付かなければ正答が導き出せない問題もあった。
第3問 2次関数、集合と命題
問1は二次関数が出題された。1次式の積で2次関数が示され、考察によって2次関数の取りうる値を考察するなど目新しい問題が出た。問2も必要・十分の概念を正しく理解した上で、会話文から与えられるヒントを基に問題を解かなければならない。
第4問 データの分析
教育機関にまつわるデータ分析問題では、ヒストグラムや箱ひげ図から正しい散布図を選ぶようなセンター試験を含む過去でも見られた問題が取り上げられた。問題のレベルについてはいたって標準的であったが、問題の数が多かったため時間配分に気を配っていかなければならなかった。
数学ⅠA
全体概要
共通テスト | |
試験時間/配点 | 試験時間70分/100点 |
大問数/解答数 | 大問は5題構成であり、第1問と第2問は必答問題、第3問~第5問は選択問題。 |
出題形式 | 数と式の問題では例年通りの出題形式で問題が出題され、頻出傾向にあるものも多かった。問3の場合の数と確率、問5の図形の性質も例年通りの出題形式。問4のみ特殊解を発見しなければならないなど、新傾向の問題であった。 |
出題分野 | 第1問と第2問は数Ⅰと共通。問3は場合の数と確率、問4は整数の性質、問5は図形の性質からの出題。 |
問題量 | 問題のページ数は全体で4ページ削減されたが、表やグラフといった共通テスト特有の読み取り問題が目立った。 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
数学ⅠAは共通テストになってから試験時間が70分に伸びました。しかし、2022年度も問題を読み込むのに時間のかかる出題傾向にあったため設問にいたる前に状況を整理する必要があったり、誘導が少なかったりとより思考力が問われるようになったため、時間的な余裕は生まれにくかったかと思います。
共通テストの数学で実社会の事象を数学を用いて考察していく問題が出題されており、このような実社会と絡めた出題が今後の共通テストでは当たり前のように出題されると考えて良いでしょう。出題形式の変更と、分量の多さから難易度は難化しました。
大問別分析
第1問
問1は対称式、問2からは命題が出題された。基本的な計算問題であり、問2では会話文のなかからヒントが読み取れるようになっている。
第2問
仰角と三角形がテーマとして取り上げられた。問1ではキャンプ場から見上げた山が題材として扱われており、水平方向と鉛直方向における縮尺の違いを修正し正しい情報を求める。問2も基本的な計算問題が多いが、ポイントに気付かなければ正答が導き出せない問題もあった。
第3問 場合の数と確率
プレゼント交換がテーマで、与えられた条件を満たす配り方を考えたり、指定された事象が起こりうる確率を求める問題が出題された。似たような問題をきっちり演習できていれば何なく解けたであろう。
第4問 整数の性質
整数解を求める問題で、1次不定方程式の係数の値が大きく設定されており、1つの解を発見することが難しいのがポイント。自力で読み込みながらも、素直に誘導に従って答えを導き出せれば解きやすかった。
第5問 図形の性質
辺面図形にまつわる問題。三角形や円が題材になっており、基本的な演習問題をこなすだけでは対応が難しい小問が目立った。コンピュータによる図形の移動、問題文からの読み取り、正誤判定といった共通テスト特有の新傾向の問題は出題されなかった。
2023年度へ向けての受験対策<数学Ⅰ・ⅠA>
共通テストではより公式や解法の原理をきちんと理解する必要が出てきました。
普段の問題演習ではあまり見たことのない問題が来年度も出る可能性があります。初見の問題であっても、使う公式や解法は知っているはずなので、あとは問われている箇所にどの公式や解法を使えばいいのかを考えれば良いだけです。そのためには、日頃から数学の知識を得たらその知識をどう活かせるかを考え、知識と知識を組み合わせる習慣をつけておきましょう。知識を点で覚えるのではなく、結びつけるという感覚が大事になってきます。
数学Ⅱ
全体概要
共通テスト | |
試験時間/配点 | 60分/100点 |
大問数/解答数 | 大問は4題構成ですべて必答。 |
出題形式 | 昨年と同様、会話文形式の出題が一部の大問でとられており、一つの問題をさまざまな方法で考察するといった目新しいタイプの問題もあった。 |
出題分野 | 問1は図形と方程式、問2は指数関数・対数関数、問3は三角関数からの出題。三角関数が問3に配置されることは珍しい。 |
問題量 | 問題のページ数は2021年度の12ページから5ページ増加して17ページに。文章を読み解く問題も多く出題された。 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
出題形式が共通テスト仕様に切り替わり、問題を読み込み考察しなければ解けない問題が多く出題されたため、多くの時間を費やした受験生も多かったでしょう。計算量は例年並みで、一つひとつの問題を着実に解ければ得点に繋がったため、難易度は昨年並みと言えます。
大問別分析
第1問 図形と方程式、指数・対数関数
問1は円の接線を求める方程式を2つの方法で求める新傾向の問題。ただ、計算量は少なく、問題そのものも平易な作りとなっていた。問2は段階的に難易度の上がる設問で、対数の性質や対数の不等式に関する問題が出題された。
第2問 微分法・積分法
3次関数の増減、図形の面積に関する考察問題。こちらも第1問の問1と同様、計算量は例年並みであった。グラフの読み取りにさえてこずらなければ解きやすかった。
第3問 三角関数
第3問で取り入れられるのが珍しい三角関数がテーマ。方程式の文字が置き換えられており、考えながら正解を求める必要があった。角度が求められない部分については三角比の値から角の大きさを考察する。
第4問 複素数と方程式
計算量が少なく、例年に比べて取り組みやすかった。4次方程式がテーマとなっており、整式の除法や解と係数の関係にまつわる幅広い問題が出題された。
数学ⅡB
全体概要
共通テスト | |
試験時間/配点 | 60分/100点 |
大問数/解答数 | 大問は5題構成であり、第1問と第2問は必答問題、第3問から第5問は選択問題。 |
出題形式 | 1つの問題に対して複数の方法から多角的に考察する新傾向の出題形式が見られた。 |
出題分野 | 第1問は図形と方程式、指数関数・対数関数。第2問は微分法と積分法、第3問は確率分布と統計的な推測、第4問は数列、第5問はベクトルであった。 |
問題量 | 問題量は14~16ページより5ページ増え、16~21ページに。 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
共通テスト特有の会話文の読み込み、考察問題が多く出題されました。数Ⅱと同様、問題数が大幅に増えていることと出題形式が新傾向に代わっていること、計算量は例年通りであるものの目新しい設定の問題が多かったことで戸惑った受験生も多かった。難易度は難化したと言える。
大問別分析
第1問 図形と方程式、指数関数・対数関数
問1は円の接線を求める方程式を2つの方法で求める新傾向の問題。ただ、計算量は少なく、問題そのものも平易な作りとなっていた。問2は段階的に難易度の上がる設問で、対数の性質や対数の不等式に関する問題が出題された。
第2問 微分法・積分法
3次関数の増減、図形の面積に関する考察問題。こちらも第1問の問1と同様、計算量は例年並みであった。グラフの読み取りにさえてこずらなければ解きやすかった。
第3問 確率分布と統計的な推測
ジャガイモの重さについて確率密度関数を用いて見積もる問題。一定の重さ以上のものがどの程度収穫されていたかを求めるため、与えられた計算式を利用して平均を求める。
第4問 数列
数列の漸化式を利用して、歩行者と自転車の移動距離を求める問題。問題の内容そのものはシンプルであるが、グラフからの読み取りが必要で漸化式が設定できなければ解けない。
第5問 ベクトル
平面ベクトルがテーマで、円と直線、点の存在範囲についての内容が問われる。計算も標準的であり、比較的取り組みやすい問題であった。
2023年度へ向けての受験対策<数学Ⅱ・ⅡB>
数学2Bを勉強するにあたって、まずは数学1Aの基礎を押さえましょう。数学1Aの内容を理解していない状態で数学2Bの内容を理解するのは困難です。共通テストは誘導があるため、見た目は難しそうな問題であっても、誘導に乗っていけばそこまで難しくない問題は多々あります。
数学2Bで得点を取るには、誘導問題に慣れることが必要不可欠です。そのためにも、過去問や予備校の問題集を使って誘導問題に慣れましょう。そして共通テストからは計算スピードはもちろんのこと、より思考力の問われる問題が出題される可能性があります。日頃から問題を解くときは、何が分かっていて、何を問われているのかをきちんと把握する癖をつけておきましょう。
数学のおすすめ参考書
共通テストの数学で得点を稼ぎたい方に向けてのおすすめの参考書を紹介します。
「高校これでわかる数学」
<特徴>
教科書レベルの基本事項を中心に収録されており、類題や予想問題を含めて計483問掲載されています。導入部分の解説が詳しく数学が苦手な人にぴったりの参考書となっています。この参考書で共通テストの数学で得点を稼ぐのは難しいですが、最初のステップとして解くと良いでしょう。
購入ページ:「高校これでわかる数学」
「基礎問題精講」
<特徴>
教科書の例題レベルの問題は解けるけれど、入試で出るような問題は解けないという方に向けての参考書になります。本書の特徴は、「精講」と呼ばれる問題を解くためのカギとなるポイントが記載されたコーナがあるところです。また、チャート式よりも問題数が少ないため、問題数が多いと挫折しやすいという方にもおすすめです。
購入ページ:「数学 基礎問題精講」
「チャート式 基礎と演習数学(白チャート)」
<特徴>
チャート式の難易度で言うと、一番下に位置する。チャート式は圧倒的な問題数が掲載されているのが特徴で、その中でも白チャートは教科書レベルから共通テスト程度の問題が網羅されている。
購入ページ:「チャート式 基礎と演習数学」
「チャート式 解法と演習数学(黄チャート)」
<特徴>
黄チャートは白チャートの次の難易度に値し、私立大志望の生徒がよく使っている参考書です。黄チャートの問題が理解でき解けるようになっていれば、共通テストの問題はほとんど対応できるはずです。チャート式は問題数が多いので、まずは例題の問題を解くようにしましょう。
購入ページ:「チャート式 解放と演習数学」