【2022年度】大学入試共通テスト 地理の難易度を徹底分析!
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2022年1月に大学入試共通テストが実施されました。
共通テストが導入されて2年目であったため、内容がどうであったのか・試験の傾向を掴みたいたいと考える方も多かったでしょう。
そこで今回は、地理の科目に関してのセンター試験と異なる点やどのような対策をしていけばいいのかについてお伝えします。
※共通テスト全体の概要に関しては【2022年度】大学入試共通テスト 全科目の難易度を徹底分析!ご覧ください。
地理A
全体概要
共通テスト | |
試験時間/配点 | 60分/100点 |
大問数/解答数 | 大問数は5問であり解答数は30個。 |
出題形式 | 組み合わせ形式の出題が前年の17個から20個へと増えた。とくに8択・9択問題もあり、資料数も38と増えたことから全体的に手間がかかる出題形式であった。 |
出題分野 | 自然災害や地図の活用、地球的課題といったセンター試験でも出題されてきたテーマが問題になった。特定の地方都市における統計問題など判断に迷うものもあった。 |
問題量 | 昨年度と同じ。 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
問題構成と量は前年の共通テストと同じであったが、出題範囲や形式が多様化しており問題を解くのに手間がかかりやすかった。標準的な知識と併せて問題文や図表を読み取る力を要した点が大きなポイントと言えるでしょう。
しかし、内容としては教科書に記載されているような基本的なテーマが多く扱われていたので難易度は昨年並みです。
大問別分析
第1問 地図の読み取りと活用/日本の自然災害
新傾向のGISが活用された設問は問6。地形図の読み取りや等値線図、模式図といった図表の読み取りにまつわる問題が出題された。火山災害や防災・減災にまつわる問題もあり、問題文を丁寧に読み取る・意味を考えればスムーズに回答できる正誤判定問題があった。
第2問 正解の生活・文化
昨年度の共通テストではテーマが食文化に絞られていましたが、2022年度は生活と文化にフォーカスした総合的な内容となった。農産物や畜産についての出題や、特定の都市にまつわる正誤問題、言語や宗教、人口にまつわる問題などが出題された。
第3問 東アジア地誌
東アジアをテーマにグラフの読み解きや基礎知識を問う問題が出題された。問5、6では貿易や旅行客にまつわる統計問題が出されており、問1~4と比べても判断力を要したため差が付いたでしょう。
第4問 地球的課題
穀物(食材)、統計、NOx排出量、レアメタルに先住民の生活といったジャンルの問題が出題。フードマイレージやフェアトレードといった比較的新しいキーワードや知識を問う問題も。産業や輸出入がどの地域のものであるか判断するには設問を丁寧に読み込み判断する必要があった。
第5問 地域調査(北海道苫小牧市とその周辺地域)
地域調査問題では地理Bの第5問と共通で北海道の苫小牧市とその周辺がテーマとなった問題が出題されました。常識的な判断で解ける問題が減り、統計問題のように判断に迷う問題が目立ったのが大きなポイント。産業にまつわる基礎知識や紋対分を丁寧に読み込むといった対応で乗り切る。
地理B
全体概要
共通テスト | |
試験時間/配点 | 60分/100点 |
大問数/解答数 | 大問数は5問、解答数は31個と昨年から1つ減少。 |
出題形式 | 問題の約半分は組み合わせ式であり、4択問題は出題されなかった。文章を読み解くタイプの正誤判定問題、図表や写真といった資料が組み合わせられた複合的な問題も。 |
出題分野 | 世界の自然環境、資源、産業、都市と村落、地誌、地域調査という6つの分野からの出題であり、範囲は昨年と同じ。 |
問題量 | 問題量は昨年度と同規模。ただし、出題形式がより刷新されたため解き方に慣れていないと時間がかかった。 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
グラフや表、写真といった資料が前年度よりも多く増えました。1つの問題につき必ず何らかの資料が添えられていることとなり、問題の判別や資料の読み解きに時間がかかる傾向が強くなっています。ただし、基本的な知識から冷静な判断ができれば対応できる問題も多かったため、難易度は昨年並みであったと言えるでしょう。
大問別分析
第1問 世界の自然環境と自然災害
大問6つのなかでも難易度が高く設定されていました。日本や世界における地域性の理解が問われる問題。問4オーストラリアの等値線図の読み取りでは気温や降水量分布といった季節変動から正しいものを選ぶといった判断力が問われた。
第2問 資源と産業
第2問では大きなテーマに「持続可能な資源利用」が掲げられていた。環境問題に結びつけられた生産量や消費量、人口推移や産業にまつわる問題があり、すべてSDGsを意識した構成であった点もポイントです。基本的な知識があれば解ける問題であったため全体的な難易度は易しいものとなっていた。
第3問 村落・都市と人口
ジェントリフィケーションや客数から判断する統計問題などが出題された。先進国と発展途上国の出生率に関する問題があり、とくに問3では居住者の貧困率というワードに注意し、資料の年次に注意を要した。問4にある人口ピラミッドからの判別問題は難易度が高かった。
第4問 ラテンアメリカ
A=ラテンアメリカの自然と社会、B=チリとニュージーランドがテーマで出題されました。昨年は出題されなかった比較地誌の問題がBで復活する形に。輸出総額や量、気候判断にまつわる問題が出されました。
第5問 地域調査(北海道苫小牧市とその周辺地域)
地理Aと同じ共通問題。統計問題のように正誤判定に迷う問題も出題されたが、常識的な知識や判断で解ける問題もあった。
2023年度へ向けての受験対策
共通テストの地理では、知識そのものを問うことは少なく、複数の資料の読み取りと関連付けた出題が多くなりました。そのため、地理の用語を単に覚えるだけでなく、なぜそうなるのかを理解したうえで、使える知識を増やしていきましょう。使える知識を増やしていけば、地理的な見方や考え方を要する問題にも応用できます。
また、資料の読解が複雑化していることも特徴的なので、日頃から地図や図表に目を通し資料と知識を関連付けることも大切です。そして、過去問や問題演習を繰り返していく中で、地理の独特な出題形式や資料問題に慣れていきましょう。
地理のおすすめ参考書
共通テストの地理で得点を稼ぎたい方に向けてのおすすめの参考書を紹介します。
「山岡の地理B教室」
<特徴>
地理を一通り学びたい人向けの参考書で、講義内容が話し口調で書かれており、読みやすくなっています。用語の意味や背景、問題点なども端的にまとめられているので、地理が苦手な方におすすめの1冊です。
購入ページ:「山岡の地理B教室」
「村瀬のゼロからわかる地理B」
<特徴>
受験に必要な地理の知識が400ページにわたって詳しく解説されている参考書です。「なぜ、そうなるのか?」をかみ砕いて解説しているため、内容の理解もスムーズに進みます。地理の内容を幅広く学びたい人におすすめです。
購入ページ:「村瀬のゼロからわかる地理B」
「共通テスト 地理B 集中講義」
<特徴>
共通テストに必要な知識がコンパクトにまとめられた基礎を身につけるための参考書です。全部で40の必修テーマに分かれており、1テーマは6~8ページなので、効率的に学習が可能です。教科書なので一通り学習してから取り組むのがおすすめです。
購入ページ:「共通テスト地理B 集中講義」
「瀬川聡の共通テスト地理B」
<特徴>
「試験本番で90点をコンスタントにとる力を養成する」というコンセプトの問題集です。共通テストの過去問や自作問題を使った問題演習をしながら、それについての丁寧な解説が載っているのが特徴的です。問題の着眼点を知り、地理的思考を身につけたい方におすすめです。
購入ページ:「瀬川聡の共通テスト地理B」