高校数学とっておき勉強法の効果的な使い方
更新日: (公開日: ) MATHEMATICS-HUMANITIES
高校数学とっておき勉強法
1.高校数学とっておき勉強法の概要
この本は、数学の「参考書」ではない。
数学の「勉強法」の本である。
参考書の読み方、使い方、選び方が書かれているが、これ自体が参考書になることはない。
だからこそ、参考書からは絶対に得られない知識を得ることができる。
いくら熱心に勉強しても成績が上がらない人は、この本を読めばなぜ成績が上がらないかがわかる。
「自分の頭は数学に向いていない」などとぼやく前に、この本を読んで勉強法を変えてみよう。
決して「即効薬」ではないが、「特効薬」であることは間違いないはず。
大学入試には「計算用紙」がついてくる。
だから答えが出なくても計算用紙の出来が良ければ、ある程度稼げる。
その「稼ぎ方」まで書いてある。
あなたのクラスメートにも「数学」は出来るのに「英語」はちんぷんかんぷんな人がいるだろう。
それは勉強の仕方が「数学」と「英語」では違うから。
数学と「数学でない科目」の違いまで書いてある。
単なる「参考書」の域を越えた本書は、数学をより深く理解するうえで、重要な武器になるはずだ。
また、なかでも多くのページを割いて説明しているのが、各単元によって必要とされる能力が変わってくるという話である。
2次関数、方程式、三角比・三角関数、微積、2次曲線などは忍耐。
数と式、数列・極限は計算力・表現力。
確率は表現力や読解力。
そして指数・対数、ベクトル、複素数、行列などは常識にとらわれない力。
学ぶ人により得意な単元がちがってくるということは、つまり単元によって必要な力が異なるからなのだろう。
2.高校数学とっておき勉強法の使い方
参考書ではなく読み物なので、使用法などは特にないが、あえて言うなら自分の気になる章だけ読んでも構わないと思われる。
ただ、「単元によって求められている力が違う」という章については、全員が一度は目を通しておくべきところであろう。
3.高校数学とっておき勉強法の総評
著者は数学に取り組む際には、各単元に対する心構え(スタンス)と勉強法の手順(アルゴリズム)を知っておく必要があるいう。
例えば2次関数と複素数では性格が違うので、各単元ごとに心構えを変えなければならない。
2次関数はひたすら努力と忍耐を要する単元、複素数では常識にとらわれない発想の転換が必要だという。
著者は、各単元(数学I・A、数学II・B、数学III)について、性格の違いや勉強法の手順を親切に説明している。
その他、実力をつける勉強法、参考書・問題集の選び方、数学答案の具体的な書き方(ノートの使い方、グラフの書き方、分かりやすい答案説明、手書き文字に関する注意)まで、数学に取り組む際の「作法」が実に懇切丁寧である。
受験生に限らず、社会人でも数学の勉強をしている人は、まず本書を紐解いてみることをお勧めする。
どんなによい教材があっても「勉強のやり方」が分からなければ意味がないのである。
今、参考書・問題集の選択に悩んでいる人は、本書で著者が提案している「本の選び方」に目を通してみたらどうだろう。
また、今までやみくもに問題練習をやってきた人なら、目から鱗が出る解説に「うーん」と唸らされる違いない。
そして「数学の勉強をしたいがやり方が全くわからない」という五里霧中の人には、まさに本書は打ってつけである。